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統合失調症で休職したら傷病手当はもらえる?【仕事復帰までの流れや手当の申請方法を解説】

統合失調症休職
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仕事のストレスが原因で精神病を発症する人は多く、昨年度の労災認定のうち仕事が原因でうつ病を発症した人は629人で過去最多となりました。精神病にもさまざまな種類がありますが、とくに統合失調症を発症すると入院が必要になるケースが最も多いようです。

そのため、症状が収まるまで休職しなければなりません。

今回は、発症から急性期を経て回復期から復職に至るまでをフローチャートを用いて解説いたします。

\ この記事の監修者 /
仮屋 智之顔写真
就労移行支援事業所で支援業務に携わり、精神疾患や障害をお持ちの方のメンタルヘルスケアやキャリアアップのお手伝いをしています。

 

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統合失調症の原因とは?

統合失調症の原因について、現段階でははっきりとわかっていません。脳内機能の異常や遺伝、体質、環境など、さまざまな要因が組み合わさって発症するものであると考えられているようです。

どの遺伝子が統合失調症の発症に関与しているかなどははっきりとしていないため、原因を突き止めることは難しいでしょう。しかし、生まれる前から統合失調症になりやすい体質であり、大きなストレスがかかるなどの環境がきっかけで発症したりするという考えが有力です。

 

そのため、職場の人間関係や労働環境、仕事での責任が重すぎるなどのストレスも統合失調症の原因になる可能性があります。今の職場に行くようになってから統合失調症を発症した場合は、仕事のストレスが原因である可能性が非常に高いでしょう。

 

仕事のストレスが原因の場合は、一度休職するなどして原因から離れることが大切です。

統合失調症:心の病気を知る(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_into.html

統合失調症の症状をチェック

統合失調症には、大きくわけて3つの症状があります。3つの症状は全く異なるため、同じ統合失調症患者でも違う精神病に見えることもあるでしょう。

ここでは統合失調症の症状について詳しく解説していきます。当てはまる症状がないかチェックしてみましょう。

妄想・幻覚などの思考障害

一般的には「陽性症状」と呼ばれており、主に妄想や幻覚、思考障害の症状があらわれます。

妄想は、実際には起きていないことを強く確信してしまう症状です。「誰かに嫌がらせをされている」などの被害妄想が多く、実際に起きていると信じ込んでしまいます。

幻覚は、実際にそこにはないものが見える症状です。

幻覚の他にも、誰もいない・話していないのに声が聞こえる幻聴の症状があらわれることがあります。おもに幻聴では、患者の悪口や批判が聞こえるケースが多いようです。仕事のストレスで統合失調症を発症した場合、ほかの社員から悪口を言われるような幻聴や、嫌がらせをされている妄想の症状があらわれやすいでしょう。

 

さらに、思考障害では自分の考えをまとめることが難しく感じるようになります

会話が成り立たなくなったり、傍から見て状況とは合わないおかしな行動をとったりする症状がみられるようです。陽性症状では、妄想や幻覚、幻聴など周囲の人を巻き込んだ症状があらわれます。とくに仕事のストレスが原因の場合、ほかの社員を巻き込みトラブルに発展する可能性もあるでしょう。

 

誰もいないのに自分を批判する声が聞こえるなどの症状が現れた場合は早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

思考や感情が貧困化する

一般的には「陰性症状」と呼ばれています。

喜怒哀楽などの感情表現がなくなったり、仕事から趣味まで全てに対する意欲が低下したりする症状があらわれます。

特に、仕事のストレスから発症した場合は仕事へ行く意欲もなくなってしまうため、無断欠勤が続いたり引きこもりになったりするようです。

 

感情が乏しくなることから、他者の感情に共感することが難しくなり、会話の内容が理解できないなどの症状があらわれます。そのため周囲の人から誤解されやすく、統合失調症が原因で信用を失うこともあります。

 

友人や会社の人の話が理解できないことが増えたり、趣味などの好きだったことにも興味がなくなったりする場合は統合失調症の可能性を考えましょう。

認知機能の低下

統合失調症では、陽性症状や陰性症状のほかに記憶力や注意力、判断力の欠如が著しくなる症状もあらわれます

職場でこの症状が出ると、仕事でのミスが増えたり、仕事の効率が悪く処理が遅くなったりするケースがあります。

 

陽性症状や陰性症状とは違い、精神的な症状が出ているわけではないため本人も周囲の人も気づきにくい傾向にあるようです。認知機能の低下は、統合失調症だけでなくほかの病気を発症している可能性もあります。

以前よりも記憶力や注意力が大きく低下している場合は一度病院で診てもらうのがおすすめです。

統合失調症の治療

統合失調症の治療は、薬と精神的なリハビリを組み合わせて行います

薬で症状が落ち着いてきたら、通常の生活をスムーズにおくるための「精神科リハビリテーション」と薬を併用した治療に移ります。ここからは統合失調症の治療について、さらに詳しく深堀します。

薬物療法

薬物療法では、「抗精神病薬」という薬を使用します。

抗精神病薬は、陽性症状・陰性症状・認知機能低下の全ての症状に効果的なため、統合失調症の治療では使われることが多いでしょう。

また、その日の体調によってなど自己判断で薬の服用をやめると症状が再び出てきたり、繰り返すと薬の効きが悪くなったりします。

医師の指示に従って薬を服用しましょう。

精神科リハビリテーション

精神科リハビリテーションでは、おもに作業療法・心理教育・社会生活技能訓練の3種類を患者の状態に合わせて行うようです。3つの治療方法について見ていきましょう。

 

作業療法

作業療法では、パソコンや書道などの軽作業を行います。それにより達成感などの喜びの感情を回復させられます。そのため、感情が欠如する陰性症状が強く出ている患者にも効果的でしょう。

 

社会生活技能訓練

社会生活技能訓練では社会復帰に向けて、ストレスの対処法や統合失調症という病気や薬との付き合い方などについてを学びます。日常生活で起こりうるテーマについてロールプレイングで学ぶため、復帰後を見据えて十分な準備ができるでしょう。

 

心理教育

心理教育では、統合失調症という病気についてきちんと学びます。統合失調症はストレスなどがきっかけで再発しやすい病気のため、病気との付き合い方を学んでいくことは非常に重要です。こちらは家族を対象にしたプログラムもあります。統合失調症の治療は家族など周囲の人の理解・協力が必要です。

病気についてきちんと理解するためにも、家族と一緒に受けることをおすすめします。

統合失調症は治療が遅れると悪化し、治りも遅くなるため早期発見・治療が最も大切です。とくに仕事など、ストレスが溜まっている場合は発症しやすい状態にあります。いつもと違う状態が続くようであれば、医師の診察を受けましょう。

統合失調症で休職後仕事復帰までにかかる期間

統合失調症の治療期間は個人差があり、中には回復まで10年以上かかることもあります。統合失調症は発見が遅れることがあり、初診までに1年ほどかかるケースが非常に多くあります

この統合失調症が発症しているのにも関わらず、治療されていない期間のことをDUP(精神病未治療期間)と呼び、

統合失調症の場合は、このDUPの期間が短ければ短いほど予後が良く職場復帰までの期間が短縮されます

精神疾患の早期発見 – e-ヘルスネット(厚生労働省)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-08-002.html

統合失調症の回復までの4つの経過

統合失調症は、4つの段階を経て回復へと向かいます。

また、それぞれの段階により具体的な治療の方法も異なります。

前兆期

<div class=”simple-box4″><p>・焦りや不安、不眠など症状が現れる。</p></div>

発症の前触れ症状が発現する時期となります。

強いストレスを感じる職場環境であれば、なるだけ周囲の人間に自信の状態を把握してもらうようにして、症状のシグナルを早めに感じ取ってもらえる環境に身を置きましょう。

 

具体的な治療法

DUPの期間が短いほど予後が良くなる

急性期

<div class=”simple-box4″><p>統合失調症特有の陽性症状が目立つようになる。</p></div>

統合失調症特有の陽性症状が目立ち。強い不安や不眠などに襲われます。

基本的な生活リズムが崩れやすい傾向にあります。

この時期に、周囲が異変に気付き治療が開始される場合がほとんどです。

具体的な治療法

本人が安心できる環境と薬物療法

消耗期

<div class=”simple-box4″><p>急性期の症状により心身共に疲れ、非活動的となる。</p></div>

この時期の特徴としては、非常によく眠ることが挙げられます。

その結果、充分な休息が得られ精神的にも徐々に回復し、次のステージへ移行します。

具体的な治療法

十分な休息と薬物療法

回復期

本人が十分な回復期間を経て、徐々に社会復帰などを考えられるようになる時期です。

しかし、認知に関する症状などが残留する場合もあるため、本人に対して周囲は「無理させない」事が重要となります。

また、この時期から集団でのリハビリテーションプログラムへと取り組んできます。

統合失調症の回復期から職場復帰までの流れ

統合失調症での治療から回復期に突入し、実際の職場復帰までは具体的には以下の流れとなります。

統語失調症から職場復帰真Dネオ具体的な流れ

精神科デイケアやリワークなどリハビリテーションへの参加

いきなり、仕事復帰をするのではなく症状により低下した能力を回復するためリハビリテーションに参加します。

いずれも、主治医と相談しながら実施していきます。

また、リワークには様々な施設が存在し、ご自身の状態や苦手な部分と合わせて施設を選ぶ事が可能です。

また、統合失調症は再発率も多い疾患であることから焦らずじっくり取り組むことが重要となります。

主治医より就業可能診断書の発行

リワークや精神科デイケアで十分な自信がついたら、主治医と就労について相談し許可が出た場合は、正式に文書として「就業可能診断書」を発行してもらいます。

就業可能診断書の例

就業可能診断書の例

医師より主に3つの項目(就業判定・疾病性・事例性)について、会社に証明する事ができます。

  • 働く事が可能であるか?どの程度の時間、働くことが可能か?(就業判定)
  • 睡眠や生活面での支障はあるか(疾病性)
  • 通勤の可否やデスクワークが望ましいなど具体的な事例(事例性)

また、この際会社側で必要な配慮なども記載してくれるので、出勤から退社までのトータル面で不安な点は主治医に相談しましょう。

職場復帰日の決定

就業可能診断書が発行されたら、その診断書を元に具体的に会社との職場復帰の日程について取り決めを行います。

会社との面談の際は、就業可能診断書で記載されている項目についてしっかりと口頭で詳しく説明することが重要です。

会社としても、あなたとしてもしっかりと働き続ける事が重要です。

過不足なく説明できるようにしておきましょう。

統合失調症で休職する場合は傷病手当をもらおう

統合失調症だけでなく、病気や怪我などが原因で休職する場合、条件を満たせば傷病手当を受け取れます。しかし、傷病手当は自分で申請をしなければもらえません

自分が休職する際はもらえる条件に当てはまらないか確認することをおすすめします。ここでは傷病手当について、もらえる条件や申請方法、金額はどのくらいもらえるのかなどについて解説します。

傷病手当がもらえる条件

傷病手当は、以下の4つの条件を満たした場合に支給されます。

傷病手当の支給の条件
  • 業務外の怪我や病気による休職である
  • 仕事ができない状態であること
  • 連続3日休んだ後も休職が続いている
  • 休職中の給与が支払われていない

傷病手当とは、業務外の怪我や病気が原因で休職した場合に支給されます。そのため、会社側が業務中のストレスによって休職したと認めた場合は、傷病手当ではなく労災保険を受け取ることになります。

 

しかし、統合失調症などの精神病で労災認定を受けるのは非常に難しいため、医師の診断書をもとに傷病手当を受け取りましょう。傷病手当を受け取るには連続3日の待機期間があります。

 

待機期間の後も休職状態が続くようであれば条件に当てはまります。また、休職中に給与が発生しても対象外となるため、有給などは使わないようにしましょう。

傷病手当の申請方法

傷病手当は、休職したら自動的に入ってくるものではありません。自分で手続きしなければならないため、申請方法について確認しましょう。傷病手当の申請手続きの手順は以下の通りです。

傷病手当の申請手続きの手順
  • 会社に休職することを報告する
  • 傷病手当金申請書類を保険組合から取り寄せる
  • 傷病手当金申請書類に記入する
  • 書類を保険組合に提出する

会社に休職することを報告する

まずは会社に休職することを伝えます。その際、業務外の理由によるものであることを伝えましょう。

仕事が原因であることを伝えると傷病手当ではなく、労災保険を受け取らなければなりません。

<div class=”concept-box1″><p>職務上の事が原因の場合は、傷病手当ではなく労災保険となる。</p></div>

労災保険の場合は社内で調査が必要になったり、場合によっては会社側が認めずに労災保険も傷病手当ももらえない可能性があります。

統合失調症は仕事のストレスだけが原因とは限らず遺伝的に原因など発症の特定が難しいため、傷病手当を受け取る場合は業務外の理由であることを伝えましょう

 

また、傷病手当金申請書類は自分で記入するものが2枚、医師や会社にも1枚ずつ記入してもらう必要があります。申請書類は4枚1組で提出しましょう。

<div class=”simple-box4″><p>傷病手当の申請書はこちら(全国健康保険協会より)</p></div>

 

傷病手当は休職期間が過ぎた事後申請が基本

傷病手当は、短期での休職の場合は申請する休職期間が過ぎたあとに申請するのが基本です。たとえば、3/1〜3/26まで休職した場合は翌日3/27から申請が可能になります。

医師や会社からも、申請期間が過ぎなければ申請書類を記入してもらえません。

そのため、傷病手当はすぐにはもらえないことを認識しておくことが重要です。

また、長期休職する場合は1ヶ月ごとに申請するのが一般的です。月に1回の申請で済むため手間がかからないほかに、通常の給与と同じように毎月振り込まれるため今までの生活をペースを維持しやすいでしょう。

傷病手当はどのくらいもらえる?

傷病手当は、一日あたりの給与の2/3が支給されます。歩合制や残業代などで毎月給与が異なる場合は、過去12ヶ月の給与を平均した額をもとに計算します。

 

また、傷病手当は最長で1年6ヶ月までです。給付期間が決められているため、期間内に仕事復帰しようと焦りを感じるとそのストレスにより再発する可能性があります。

統合失調症は規則正しい生活とともに、きちんと休息をとることが治療期間を縮めることに繋がるため、焦らず療養することが大切です。

統合失調症と診断されたら無理せず休職しよう

今回は統合失調症について、症状や治療方法から傷病手当についてまでご紹介しました。統合失調症は本人も周囲の人も気づきにくいため、「変な人」と誤解されるケースが多くあります。

 

原因が分からないことから本人も自信を失い、さらに悪化しやすい病気です。症状についてきちんと認識しておくことで、自分や周囲の人の変化に気づけるため、早期発見・治療に繋がります。

 

また、傷病手当についてももらえる条件や申請方法について認識しておけば、お金や手続きの心配をせず休職できます。仕事でストレスを抱えている人は、今回の記事を参考に万が一に備えましょう。

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