「統合失調症でも仕事できる?」
「どんな仕事が向いている?」
統合失調症で休職や退職し、社会復帰し仕事ができるか不安な気持ちを抱えている方もいるのではないでしょうか。
統合失調症の症状は多岐にわたり、一人ひとり異なるため個々に合わせた治療と仕事選びが必要です。
そこで今回は、統合失調症の方に向いている職業や仕事との向き合い方、サポート支援について解説します。
復帰や再就職で悩んでいる方は、社会復帰の際に参考にしてください。
統合失調症で働いている人の割合は?
統合失調症を抱えながら働いている方の割合は明確に発表されていませんが、社会復帰して仕事をしている方は一定数います。
以下に参考となる厚生労働省のデータをまとめました。
【令和4年6月1日現在における障害者の雇用状況】
民間企業に雇用されている障害者の数は613,958人で、精神障害者は109,764.5人(統合失調症を含む)
上記のデータでによると、精神疾患の方の雇用率は17~18%です。
日本の法律では障害者の雇用率が定められており、従業員40人に対して障害者を1人採用する必要があります。
そのため、統合失調症の方でも働く場を得やすくなっているといえます。
統合失調症の方に向いている仕事環境
統合失調症は一人ひとり症状が違うので、自分に合わせた仕事環境を見つけることが重要です。
自分が大切にしたいものが「人間関係」「家族」「やりがい」など、どこに重点を置いているか考え、社会復帰を目指しましょう。
では、1例として統合失調症の方に向いている仕事環境を3つ紹介します。
統合失調症の方に向いている仕事環境
- リモートワークやフレックスタイム制が利用できる職場
- 症状への理解がある職場
- 頭より体を動かす仕事
それぞれ詳しく解説します。
リモートワークやフレックスタイム制が利用できる職場
リモートワークやフレックスタイム制は柔軟な働き方を可能にし、ストレスを軽減しながら仕事ができます。
- 自分のペースで仕事ができる
- 体調に合わせて労働時間を調整できる
リモートワークやフレックスタイム制など、負担が少ない環境に身を置くことで、最大の仕事パフォーマンスを発揮できるのです。
また、体調が優れない日でもスケジュールを調整できるので、統合失調症の方に向いている仕事の一つといえます。
症状への理解がある職場
職場の理解は、統合失調症の方が安心して働ける環境を作るうえでとても大切です。
復帰したい職場、新しい職場に以下の環境が整っているか調べておきましょう。
- 精神疾患に対する教育がされている
- 産業医が設置されている
- 体調不良の際の休憩室が設置されている
上記の中でも「精神疾患に対する教育」は統合失調症に対する偏見や誤解を減らすために最も重要なポイントです。
上司や同僚の理解がある職場ならストレスがかかりにくく、再発のリスクを減らせます。
頭より体を動かす仕事
農業や軽作業などの体を動かす仕事は集中力を保ちやすく、ストレスを発散できるため統合失調症の方に向いています。
統合失調症の症状を緩和させるために運動療法が取り入れられることもあり、陰性症状が改善されたという研究結果もあります。
- 意欲の低下
- 思考の低下
- 意欲の欠如
- 引きこもり
体を動かすことで集中して仕事に取り組め、ストレスを発散できます。また軽い運動にもなるので体力の低下を防ぎ、再発率を下げることが可能です。
統合失調症の方に向いている業務
続いて統合失調症の方に向いている業務について、以下の4つを紹介します。
自分の症状やストレス耐性など、医師と話し合いながら仕事の方向性を決めましょう。
- 事務職
- 軽作業
- 製造業
- 商品管理
それぞれ詳しく解説します。
事務職
事務職は静かな環境で定常的な業務のため、心理的負担が少なくストレスがかかりにくいので統合失調症の人に向いています。
仕事内容もマニュアルに沿った作業が多いのが特長です。座りっぱなしが苦痛にならない方には向いている仕事です。
軽作業
軽作業は体を動かしながらでき、ストレスを発散しやすいので、統合失調症の方に向いています。
シンプルで繰り返す作業が中心となるため、統合失調症の方にも取り組みやすい仕事です。
製造業
製造業は一定のルーティン作業が多く、予測可能な業務が中心です。仕事内容が一定のため、統合失調症の方に向いています。
製造ラインの作業など単純な業務が多く、集中して作業できる方におすすめの仕事です。
商品管理
商品管理は、整理整頓が得意な統合失調症の方に適しています。
倉庫内での作業が主となり、物理的な業務が多いため集中しやすい環境です。たんたんとした業務が好きな方に向いている仕事です。
統合失調症の方におすすめの具体的な仕事探し
続いて、統合失調症の方に向いているおすすめの仕事を具体的に紹介します。自分に向いている仕事探しの参考にしてください。
- データ入力オペレーター
- カスタマーサポート
- 図書館のアシスタント
- 清掃スタッフ
- 軽作業スタッフ
- サポートスタッフ(福祉関連)
- コンテンツライター
- グラフィックデザイナー
それぞれ詳しく見ていきましょう。
データ入力オペレーター
データ入力オペレーターは、静かな環境で定常的な作業を行える仕事です。
業務は主にコンピュータを使っての入力作業で、シンプルな業務が多いので、集中力を維持しやすい環境です。
また、自分のペースで働ける場合が多く、体調に合わせて仕事量の調整ができます。
カスタマーサポート
カスタマーサポートは人と関わる仕事ですが、マニュアルに沿って対応できれば問題ありません。
また、リモートでのカスタマーサポートも増えており、自宅で落ち着いて業務を行える会社もあります。
コミュニケーションスキルが活かせる職種であり、適切なサポートと理解があれば、長期的な就労が可能です。
図書館のアシスタント
図書館のアシスタントは静かで安定した環境で働けるため、統合失調症の方に非常に適しています。
本の整理や貸し出し手続き、利用者のサポートなど、ルーティンワークが多い仕事です。
また、静かな場所での作業が中心であるためストレスが少なく、集中しやすい環境が整っています。
清掃スタッフ
清掃スタッフは、体を動かしながらできる作業が多く、精神的なストレスを発散しやすいので、統合失調症の方に向いています。
仕事内容はシンプルで繰り返しの作業が中心となるため、安心して取り組める環境です。
また、清掃業務は一般的に一人で行うことが多いため、他者とのコミュニケーションに不安がある方にも適しています。
軽作業スタッフ
軽作業スタッフは、体を動かしながらできるシンプルな作業が多く、繰り返しの業務が中心のため統合失調症の方に向いています。
また、物理的な活動が多く、精神的なストレスを発散しやすい仕事です。
会社によっては柔軟な勤務時間が設定されている場合もあり、自分の体調に合わせて働けます。
サポートスタッフ(福祉関連)
サポートスタッフは人とのコミュニケーションが求められますが、業務を通じて感謝される場面が多く、やりがいを感じる仕事です。
また、福祉関連の職場では医療従事者が多く在籍しているので、統合失調症に理解のある環境が整っています。
コンテンツライター
コンテンツライターは自分のペースで作業でき、体調に合わせて柔軟に働けるため統合失調症の方に適した仕事です。
業務は主に文章の作成であり、マニュアルやガイドラインに沿って進めます。
また、ライティングの仕事は一度始めたプロジェクトに集中できるため、一定のリズムで行えます。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、自分のペースで作業を進められるため統合失調症の方に向いています。
仕事内容は主にデザインソフトを使って視覚的なコンテンツを作成することが中心で、定型的な手順に従いながら進めます。
リモートワークが可能な場合が多く、体調に合わせて柔軟に勤務時間を調整可能です。
また、デザインは創造性を発揮できる分野であり、達成感や満足感を得やすい仕事です。
統合失調症の方の仕事との付き合い方
統合失調症の方は、まず医師の指示に従い焦らず回復することが最も重要です。併せて以下の対策をし、社会復帰を目指しましょう。
- 自己理解とセルフケア
- ストレス管理・ストレス発散
- 現実的な目標設定
それぞれ詳しく解説します。
自己理解とセルフケア
自己理解とセルフケアは、統合失調症の方が仕事を続けるために非常に重要です。自分の体調や限界を把握することで、無理のない働き方を実現できます。
セルフケアは以下の行動を大切にしてください。
- 適切な休息
- 健康的な食事
- 規則正しい生活習慣の維持
- 定期的な医師の診察やカウンセリング
統合失調症の症状やストレスの兆候を早期に察知し適切な対応を取ることが、復帰して仕事を長く続けるための鍵となります。
ストレス管理・ストレス発散
ストレス管理と発散は、統合失調症の方が健康を保ちながら仕事を続けるために欠かせない要素です。
日常的にストレスを軽減する方法を取り入れることで、症状の悪化を防げます。ストレス発散には以下がおすすめです。
- 適度な運動
- 趣味
- 入浴
ストレスを感じたときには、リラクゼーションや上記のようなストレス発散方法を取り入れると良いでしょう。
定期的に自分の状態を見つめ直し、ストレスの原因を特定して対策を講じることが大切です。
現実的な目標設定
適応障害の方は、現実的な短期目標からはじめ、長期目標を設定することで無理なく社会復帰し仕事ができます。
まずは短期的な目標を設定し、小さな達成感を積み重ねることで、モチベーションを維持してください。
- 家族や人と関わる時間を増やす
- 朝起きて夜寝る生活習慣を取りもどす
- カウンセラーに相談事や悩みを聞いてもらい、安心して過ごす
次に大きな目標を設定し、さらに小さなステップに分けて取り組むとよいでしょう。
- 人とのつながりを感じながら、会話する
- 外に出る時間を増やし、人と会話する
- 以前やっていたお風呂、食事などのルーティンを行う
定期的に目標を見直し、必要に応じて調整することで、社会復帰し仕事が可能になります。
会社側が仕事上でできる統合失調症の方への配慮は?
統合失調症の方が社会復帰し仕事を行うためには、本人以外に会社側も配慮しなければなりません。
会社側が統合失調症の方への配慮を行うことは、働きやすい環境を提供するために重要です。具体的な配慮策としては以下があげられます。
- フレックスタイム制度やリモートワークの導入
- 仕事内容の調整
- メンタルヘルス専門家によるサポート
- 精神疾患に関する研修
- コミュニケーションの促進
- 業務の分担
- 業績評価の配慮
上記のように会社側が統合失調症の方に向けて適切な配慮を行うことで、長期的に仕事が行えます。
統合失調症と仕事に関するよくある質問
統合失調症になったら「復帰できないのではないか」「仕事が続かないのではないか」など不安になる方もいます。
では、統合失調症の方からよくある質問を4つ解決していくので参考にしてください。
- 統合失調症になったら休むべき?辛い時は休んでいい?
- 統合失調症の方は仕事が続かない?すぐ辞めたいとなる?
- 統合失調症で休職したら復帰できる?
- 統合失調症は就業不可ですか?
それぞれの内容について、詳しく解説します。
統合失調症になったら休むべき?辛い時は休んでいい?
統合失調症になった場合、無理をせずに仕事を
休むことが重要です。症状が悪化する前に適切に休息を取ることで、早期回復が期待できます。
会社や医師と相談し、必要な場合には休職制度を利用することも検討しましょう。
統合失調症の方は仕事が続かない?すぐ辞めたいとなる?
統合失調症の方は職場の理解とサポート、自己ケアの実践が仕事を続けるための鍵となります。
適応障害の方をフォローする環境が整っていないと辞めたいと思うので、自分のペースで働ける環境を見つけましょう。
統合失調症で休職したら復帰できる?
統合失調症で休職した場合、適切な治療とサポートを受ければ復帰可能です。復帰時には、無理のない範囲での業務が推奨されます。
医師とともに復帰プランを立て、職場と連携しながら段階的に業務を再開することが大切です。
統合失調症は就業不可ですか?
統合失調症は就業不可ではありません。適切なサポートと理解があれば、働くことは可能です。
統合失調症の仕事探しにはいくつか方法があり、よく使われるサービスは以下の通りです。
- 地域障害者職業センター
- ハローワーク
- 就労移行支援事業所
- 障害者就業・生活支援センター
- 転職エージェント
統合失調症でも適切なサポートと環境が整えば就労は可能であり、社会参加を通じて充実した生活を送れます。
統合失調症で働けない場合お金はどうする?
統合失調症で働けなくなり金銭面で不安がある方も安心してください。経済的な支援を受ける方法があります。
- 自立支援医療制度(精神通院医療制度)…医療費の自己負担額を軽減する医療制度
- 障害者手帳…公共料金などの割引、税金の控除または免除、生活福祉資金の貸付が可能
- 障害年金…症状が重く働けない場合に支給される年金
- 傷病手当金…健康保険から支給されるもので、休職中に収入を補うためのもの
- 生活保護…経済的に困窮している方に向けて最低限の生活を保障
上記のような制度を使うことで、治療に集中しながら生活できます。制度が不明な場合は役場に問い合わせたり、医師やカウンセラーに相談したりしましょう。
統合失調症とは?
統合失調症は、現実認識が歪む精神疾患です。主な症状には幻覚、妄想、思考の混乱、社会的な引きこもりなどがあります。原因としては以下が考えられています。
- 遺伝
- 脳の構造・機能の異常
- 仕事など環境的要因
統合失調症は早期診断と治療が重要です。統合失調症の症状は人により異なるため、一人ひとりに合わせた治療計画が必要です。
症状が現れたり周囲から指摘されたりした場合は、早急に病院に行きましょう。早めに対応することで症状の悪化を防ぎ、早期に社会復帰が可能になります。
統合失調症も十人十色!早めに医師と相談してうまく仕事と両立!
統合失調症を抱えながら働くことは十分可能です。早く仕事に復帰するためには、早期診断と治療がカギとなります。
医師やカウンセラーと相談し、自分に合った働き方や環境を見つけましょう。また、職場での理解と支援を得ることも大切です。
無理をせず、自分のペースで適切なサポートを受けながら、仕事と生活のバランスを保つことを優先してください。
統合失調症で、どの就労支援を受けたらよいか迷っている方は以下の記事を参考にしてみてください。
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