うつ病

うつ病になりやすい職業ランキングは?利用できる制度や対処法も解説!

うつ病になったら仕事はどうする
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「うつ病になってしまったけど、仕事はどうしよう…。」
「こんな症状が出てきたけど、うつ病かな?」

15人に1人は、一生のうちにかかると言われるうつ病。コロナ禍以降に一気に身近な存在となりました。

しかし、ほとんどの方は仕事を抱えながらの治療となり悩んでおられるのではないでしょうか?

そこで今回は。仕事をしながらうつ病になった時対処法や予兆について解説いたしました!

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仮屋 智之顔写真
就労移行支援事業所で支援業務に携わり、精神疾患や障害をお持ちの方のメンタルヘルスケアやキャリアアップのお手伝いをしています。
目次
  1. うつ病になりやすい職業のランキングは? 
  2. 「うつ病かも?」と感じたらまずは病院に相談 
  3. うつ病と診断されたら仕事はどうすればいい?おすすめの方法
  4. うつでも仕事が絶対に「休めない」どうすればいい?
  5. 【仕事中にわかる】うつ病の人のおかしい行動や症状は? 
  6. うつ病で仕事ができない人への生活費(お金)の支援制度 
  7. うつ病と仕事に関するよくある質問 
  8. うつ病と仕事に関するまとめ 

うつ病になりやすい職業のランキングは? 

令和4年の「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の請求件数の多い職種は、 

うつ病になりやすい職業ランキング
うつ病になりやすい職業ランキング
  1. 一般事務 
  2. 保健師,助産師,看護師 
  3. 営業職 
  4. 商品販売職 
  5. 介護職 

このようなランキングなっています。 

原因として、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が最も多く特に、専門技術系の職業で上司から指導を仰ぐような業種では上記の理由が発生しやすい状況となっております。

また、業種別では「社会保険・社会福祉・介護事業」327件と圧倒的に多く、

原因の2位でもある「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」と関連して、人の死や病気に接する機会が多い故と感じます。

参考:厚生労働省、ホーム > 報道・広報 > 報道発表資料 > 2023年6月 > 令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します 

うつ病になったら仕事はできない?

 2020年新型コロナウイルス流行後の日本国内のうつ病・うつ状態の人の割合は17.3%と2013年調査7.9%と比べると約2倍に増加している。

うつ病は一般的に考えられているよりも身近な病気であり、15人に1人が生涯の中で一度はうつ病にかかります。 

コロナ以前・以後のうつ病の推移

うつ病は過剰な労働やストレスによってエネルギーが不足する状態になり、気分の落ち込みが続いたり、感情に鈍感になり、何をしても気分が変わらず、集中力・意欲の低下が続くなど日常生活がままならない状態になります。 

 

うつ病の初期症状や身体のSOSに本人または周りが気づき「うつ病かも知れない?」と思っていても、実際にうつ病と診断された場合に仕事は続けられるのか、不安になり受診を躊躇してしまう人もいるでしょう。 

そこで今回は、うつ病になった時の仕事の対処法や利用できる制度について解説します。  

 

参考:厚生労働省:令和2年(2020)患者調査https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html 

 参考:経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査 

https://www.oecd.org/health/a-new-benchmark-for-mental-health-systems-4ed890f6-en.htm 

「うつ病かも?」と感じたらまずは病院に相談 

うつ病は「心の風邪」といわれることがあります。 

多くの人がその病気にかかる可能性があるという意味ではその通りですが、 

実際にうつ病の症状は風邪とは比較にならない程辛く、生活への影響は計り知れません。 

うつ病かも?と感じ、直ぐに受診ができた場合は心の風邪状態ですが、受診される頃には心の肺炎状態になってしまっている場合が少なくありません。 

 うつ病の難しいところは、症状のわかり易さにあります。 

うつ病の症状の難しさ
うつ病の症状一覧
  • やる気が出ない 
  • 食欲が落ちる 
  • 眠れない 
  • 体がだるい 
  • 寝起きがすっきりしない 
  • 頭が重い 

これらの症状は誰にでも経験があるために、うつ病になっていても本人や周囲もそれが病気の症状とは思わず受診につながらず

うつ病である期間が長くなり結果的に多くのものを犠牲にしてしまいます。 

うつ病や精神疾患では、身体的な検査においては異状が見つからないため、周りから「気のせい」や「気持ちの問題」といわれ

「自分のせいで会社や周りに迷惑をかけてしまっている」と自分を責めることで、さらに気分を落ち込ませるという負のループに陥っていることも少なくありません。 

ですが、うつ病は治療によって回復する病気です。 

ここ数年の薬物療法の進歩は著しく、今では副作用の心配もほとんど無くうつ病を治療することが可能となっています。 

「うつ病かも?」と感じたらまずは病院にご相談ください。 

適切な時期に、適切な治療が早期回復のためにもっとも大切です。 

うつ病と診断されたら仕事はどうすればいい?おすすめの方法

うつ病と診断されたときの選択肢

うつ病と診断された場合の選択肢についてまとめます。 

うつ病と診断された時の選択肢
  • 医者と相談して定期的に通う 
  • 働きながら克服を目指す 
  • 有給等で休みを積極的に取得する 
  • 会社や関係者に状況を伝える 
  • 規則正しい生活を送る  

それぞれの内容についてご紹介します。

医者と相談して定期的に通う(診断書をもらう) 

うつ病の通院頻度は 

うつ病の通院頻度
  • 「軽度」の場合、1~2か月に1度通院 
  • 「中度」の場合、3~4週間に1度の通院 
  • 「重度」の場合、1週間に1度の通院 

上記のペースで受診するのが一般的です。 

入院治療の場合は基本的には3か月が目安になっていることが多いです。 

状態が安定すれば徐々に間隔が広がり、2~4週に1度の通院になります。 

医師との初診で話す内容は、 

うつ病の初診で話す内容
  • 意欲がわかない、背中が痛い、食欲がない、痩せたなど、どのような症状か 
  • いつから症状が続いているか 
  • 食事はとれているか 
  • 睡眠はとれているか 
  • 生活リズムはどうか 
  • 困っていることはなにか 
  • 既往歴はどうか 

 

など、自分の身体が以前とどう違うのか説明できると良いです。 

その他にも仕事のことや、思い当たるきっかけ、家族のことなども聞かれる場合があります。これらの情報をもとに、医師が診断し治療の方針を決定します。 

 

うつ病と診断されたら今後会社に症状を説明するために医者に診断書をもらっておきましょう。 

診断書の発行は本人が依頼しないと診断書をもらえないため、忘れずに伝えましょう。 

働きながら克服を目指す 

うつ病の治療を進めながら働くことは、なんら悪いことではありません。 

軽い負担の仕事を選べば、生活リズムを整え、働くことによって生きがいを見つけ、経済的な安心感を得ることができるため、回復を促進してくれます。実質的にはリハビリの役割を果たしているのです。 

 有給等で休みを積極的に取得する

 うつ症での有効な治療手段は主に、休息、薬物療法、精神療法、環境調整、TMS療法です。 

薬物療法により症状が改善されない場合や改善された場合でも、どちらの場合も積極的に有給等で休みを取得しましょう。 

会社や関係者に状況を伝える

 働きながら克服を目指すの項目でもお伝えしましたが、 

働きながら克服を目指す場合は職場の理解と業務量の軽減が必要です。 

薬物療法を行っているから大丈夫!ではないのです。 

会社や関係者に状況を伝える際は、医者の診断書を提出し状況をありのまま伝えましょう。

上司への伝え方のポイント

いつから通院していて、うつ病の診断がされている。

投薬での治療中であること、有給等で休みが必要なことなどを伝えましょう。 

 

上手く伝えることが難しい、自信がないなどの場合は通院同行をお願いし、医師に伝えてもらうことも検討してください。 

規則正しい生活を送る

 うつ病の改善には薬治療だけではなく、規則正しい生活やバランスの良い食事が必要です。 

規則正しい生活とは、「起床」「朝食」「昼食」「夕食」「就寝」という、睡眠と食事の時間がほぼ毎日同じリズムで生活をすることです。1日の中で適度な運動があると、より良いです。 

参考:蒲郡市保健医療センター > 規則正しい生活を送りましょう! 

https://www.city.gamagori.lg.jp/site/hokencenter/hayanehayaoki.html 

 おすすめの運動は朝の散歩です。 

 

手順は簡単です。朝起きてから1時間以内に15~30分の散歩をするだけです。これだけで、セロトニンが刺激され、体内時計がリセットされ、自律神経が調整されるため、ストレスのない生活を目指すのに非常に効果的です。 

 うつ病やパニック障害などのメンタル疾患が改善され、健康な人でも午前中のパフォーマンスが向上し、より深い睡眠をもたらすことがあります。 

 「朝の散歩」の科学的根拠を3つ紹介します。 

うつ病に朝の散歩最強説

 

セロトニンの刺激 

 セロトニンは、日光に当たること、規則的な運動、咀嚼によって活性化されます。

朝の散歩は、これらの要因を満たすため、セロトニンを効果的に活性化するのに適しています。

セロトニンは気分、覚醒、意欲に関連し、低下するとうつ病の症状が現れることがあります。 セロトニンの活性化は、爽快な気分、高い意欲、集中力の向上につながり、夜の睡眠を深化させるためのメラトニンの生成にも役立ちます。  

 

通常、ストレスや忙しい生活を送る人は、セロトニンの分泌が低下する傾向があります。 朝の散歩によって、毎日セロトニン神経を活性化することで、ストレスに対処し、脳の疲労を回復できます。 

参考:「セロトニンの増加が心身に及ぼす効果」ー 医療社団法人 平成医会

 

体内時計のリセット 

 

人間の体内には、平均して24時間10分前後の体内時計があります。 この体内時計をリセットしないと、毎日10分ずつ寝つきが遅くなり、昼夜逆転の生活が生じる可能性があります。

体内時計は、睡眠、覚醒、体温、ホルモン、代謝、循環、細胞分裂などを制御しており、体内時計の乱れは高血圧、糖尿病、がん、睡眠障害、うつ病などのさまざまな疾患の原因となることがあります。 

体内時計をリセットするためには、太陽の光(2500ルクス以上)を5分間浴びることが効果的です。 そのため、朝外出することが重要です。 

参考:メラトニン – e-ヘルスネット – 厚生労働省

 

ビタミンDの生成 

 ビタミンDはカルシウム吸収を促進し、骨の健康に重要なホルモンです。 ビタミンDは食事から摂取できますが、必要量の約半分は皮膚が紫外線を浴びることで生成されます

朝の散歩を15~30分行うことで、必要なビタミンDの生成を促進できます。 紫外線に敏感な人もいるかもしれませんが、日光が比較的弱い朝に外出することが最適です。 

 ぜひ実践してみてください。 

参考:体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定

 

うつでも仕事が絶対に「休めない」どうすればいい?

 うつ病の症状がある場合でも「絶対に仕事を休むことが難しい場合」に、

検討したほうが良いことを解説していきます、

ただし、うつ病の重症度や個人の状況によって異なるため、医師などの専門家に相談が必要です。 

医師に仕事を休めない事実を相談する 

まず、うつ病の診断を受け、症状の重症度を確認するために精神保健の専門家(産業医、精神科医、心療内科医、心理士など)に相談しましょう。 

仕事が原因でストレスを感じている場合は労働環境の調整について診断書を書いてもらいましょう。 

就業可能診断書の例

うつ病の状態によっては仕事を辞める 

一番避けたいことはうつ症状の重症化です。 

治療に専念するために、会社での休職が認められない場合などは仕事を辞めることも選択肢の一つとしてあがります。 

自分の中で仕事を辞めるという決断をするだけで、ストレスから解放され症状が改善する場合も少なくありません。 

うつ病の方でも働きやすい仕事を探す 

うつ病の方でも働きやすい職種や環境のいくつかの例ついてご紹介します。 

フレキシブルな労働環境 

仕事の時間や場所に柔軟性がある職種は、うつ病の方に適しています。テレワークやフレックスタイムの提供、リモートワークなどがある企業で働くことは、ストレスを軽減する助けになります。 

創造的な仕事 

創造的な仕事やアート関連の職種はストレス軽減に役立つ場合があります。 

絵を描く、音楽を作る、執筆する、植物を育てるなど創造的な仕事がストレス発散になります。 

サポートをするピアサポーター 

ソーシャルワーカーや心理カウンセラー、カウンセリングセンターのスタッフなどは、他のうつ病の方を支える立場として働くことができます。 

メンタルヘルスの課題に取り組んできた経験を、同じような課題に直面する他の人々に対して経験を共有し、助言や情報提供を行う仕事です。 

フリーランス 

起業やフリーランスの仕事を選ぶことで、自分のスケジュールを調整し、仕事と休息のバランスがとりやすくなります。ただし、不規則な収入やビジネスのストレスにも注意が必要です。 

趣味や興味に関連した仕事 

趣味や関心を活かせる仕事は、充実感や喜びを提供し、うつ病の症状を軽減するのに役立つことがあります。例としては、料理、庭園の手入れ、動物の世話などです。 

 うつ病の方は、専門家の支援を受けながら、適切な職種や環境を見つけることが大切です。仕事と自己のケアバランスをうまく組み合わせ、精神的な健康を維持しましょう。 

【仕事中にわかる】うつ病の人のおかしい行動や症状は? 

うつ病の一般的な初期症状をご紹介いたします。これらの症状は、うつ病の兆候である可能性を示唆するものですが、実際には誰にでも起こり得る症状です。 

以下の症状が1~2週間以上続く場合、精神科や心療内科を受診することをおすすめします。 

仕事中に出るうつの症状

ケアレスミスが多くなる 

仕事中のうつ病の症状の一つは、仕事上のパフォーマンスの低下で、特に高いパフォーマンスを維持していた人にとっては顕著です。

仕事に向けた熱意、注意力、集中力の低下が見られ、その結果、ケアレスミスが目立ちます。注意力が散漫になり、文書の誤字脱字、計算ミス期日の誤り、プロセスの見落としなどが発生します。 

 

この症状は仕事中に限らず、日常生活にも影響を及ぼします。

家事でのミスや物忘れ、危険な状況への不注意、事故に巻き込まれる可能性も高まります。車の運転では信号待ちで青信号に気づかず後ろの車にクラクションをならされること。急発進、急ブレーキが多くなることや右折時に歩行者の見落としなどが起こりえます。 

人とのかかわりを避けるようになる 

今まで、明るく行動派で積極的だった人が、突然人との関わりを避けるようになることは、うつ病の初期症状の一つかもしれません

この状態では、自分から同僚に話しかけたり、会議で発言したり、社交的なイベントに参加したりすることが難しくなります。 

 

これは、うつ病による社会的な引きこもりや孤立感が表れた兆候かもしれません。

うつ病の影響で気力や興味を失い、人との交流が負担に感じられるためです。これによって、以前と比べて暗い、物静かな印象を受けることがあります。 

遅刻や直前の欠勤が増える 

身体的または精神的な症状が現れると、通常、職場へのポジティブな気持ちが減少し、その結果、遅刻、早退、欠勤が増加することが一般的です。

特に、事前の報告や申請なしに遅刻、早退、または欠勤が頻繁に起こる場合、それは警戒すべき兆候です。 

 

これらの行動は、個人がうつ病や他の心の健康の課題に対処するために必要な休息や治療を求めている可能性があることを示唆しています。 

整理整頓やスケジュール管理ができなくなる 

以前はスムーズにできていたはずの仕事や日常生活の計画や整理が困難に感じられ、スケジュールの記憶や計画能力が低下します

物事の整理能力が低下し、物が乱れ、散らかる傾向が現れます。この症状は、うつ病に関連するエネルギー不足、注意散漫、自己評価の低下によるものです。

結果として、日常生活のさまざまな側面で困難を経験し、自己評価が低下します。

また、職場においてもデスクやロッカーが整理されず、物が山積みになる、散らかるなどの状態が見受けられることもあります。同様に、自宅でも整理整頓が難しくなります。 

まともに会話ができないことがある

 言葉を見つけるのが難しくなり、会話が非常に困難になります。

感情が鈍り、興味を持たなくなるため、他人とのコミュニケーションが減少し、会話が深刻で乏しいものになります。

また、うつ病の症状には自己評価の低下も含まれ、自信を持つことが難しくなります。その結果、社交的な活動や人間関係が損なわれることがあります。 

具体的には、人との会話がおっくうになり、電話やメッセージでの受け答えが難しくなり、頻繁な連絡がストレスを引き起こすことがあります。 

常に眠い状態が続く 

うつ病の種類によっては、過眠が症状として現れることがあります。夜に不眠に悩まされた後、日中に極度の眠気を感じることがあります。この状態では、仕事中にデスクワークや会議中に頻繁に居眠りすることがよく見られます。 

この現象は、うつ病に関連する睡眠障害の一つであり、特に非定型うつ病や季節性うつ病の人々に影響を及ぼすことがあります。 

うつ病で仕事ができない人への生活費(お金)の支援制度 

うつ病で仕事ができなくなり、収入の不安を感じることは一般的です。

休職が必要な場合でも、各会社の休職制度や給与の扱い、休職期間については異なるため、まずは自分の会社の規則を確認しましょう。うつ病の治療に専念するための、経済的な支援制度をご紹介します。 

【決定版】うつ病で休職する方法や休職期間の過ごし方を解説!

傷病手当金 

傷病手当金は、病気やけがによって労働が不可能となり、仕事を休まざるを得ない状況にある際に、健康保険から支給される制度です。

この制度は、会社が加入している健康保険の被保険者であれば、雇用形態に関係なく受けることができます。支給の期間は最長で1年6か月までで、支給金額は大まかに給与の3分の2程度となります。 

傷病手当金の支給には、いくつかのポイントがあります。まず、仕事を休んだ日を含む最初の3日間は待機期間と呼ばれ、支給が開始されるのは4日目からとなります。

この待機期間中は支給が行われません。また、支給の対象となる疾患やけが、支給期間などの詳細は、健康保険や地域によって異なるため、具体的な条件や手続きについては、担当の健康保険組織や医療機関で確認することが大切です。 

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金) – 全国健康保険協会

自立支援医療制度 

自立支援医療制度は、うつ病や不安障害などの精神疾患にかかる医療費の自己負担を軽減するための制度です。

通常、公的医療保険における医療費の自己負担は一般的に3割ですが、自立支援医療が適用されると、この自己負担率が1割まで軽減されます

さらに、所得に応じて月ごとの自己負担額に上限が設定されており、1割の負担が高額にならないように工夫されています。 

自立支援医療限度額

参考:自立支援医療 ー 厚生労働省 

この制度は、精神疾患の治療にかかる医療費を支援し、患者やその家族に負担をかけないようにすることを目的としています。

精神疾患はしばしば長期にわたる治療が必要となるため、医療費の負担が軽減されることで、患者が適切な治療を受け続けるための支援が行わ:れています。

自立支援医療制度は、精神疾患患者とその家族にとって重要な支えとなっています。 

失業手当 

失業手当は、うつ病を含む仕事を辞めた場合に、再就職までの一定期間にわたって支給される制度です。

ただし、失業手当を受けるには求職活動を行うことが条件となり、病気により働けない状態では受給できません。現在働けない場合でも、将来の再就職に備えて、失業手当の支給期間を延長する手続きを行うことが重要です。 

 

失業手当の支給期間や金額は、雇用保険への加入期間、前職での給与、離職時の年齢などに依存しており、

個々の状況によって異なります。失業手当は、仕事を失った際に経済的なサポートを提供し、生計を維持するのに役立つ制度です。ただし、失業手当を受けるためには、求職活動を積極的に行い、ハローワークの指導などに従うことが必要です。 

 参考:雇用保険手続きのご案内 – ハローワークインターネットサービス

障害年金 

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に制限が生じる場合に支給される給付金です。うつ病も障害認定基準に該当し、初診日や年金の納付要件を満たす場合に受給できます。

うつ病の重症度に応じて、1〜3等級に分類され、支給額が異なります。 

参考:障害基礎年金の受給要件 ー 日本年金機構

 労災保険 

仕事が原因でうつ病になった場合、労災保険の適用が考えられます。

労災保険は通常、業務中や通勤途中の事故による病気やけがに対する補償を提供する制度ですが、長時間労働、パワハラ、セクハラなどが原因でうつ病が発症した場合にも認定されることがあります

労災として認定されると、長期にわたって補償を受けることができる利点があります。ただし、うつ病などの精神疾患は原因を特定することが難しく、労災として認識されるためには客観的な証拠が重要です。 

参考:精神障害の労災認定 ー 厚生労働省

 

生活保護 

うつ病で働くことができず、公的支援や親族からのサポートが得られない状況で生活が厳しい場合、生活保護を受給できる可能性があります。

生活保護は、経済的に困難な状況にある人々に対し、最低限の生活水準を維持できるように国が支援する制度です。

うつ病の場合も一定の条件を満たす場合、生活保護を受けることができ、経済的な安定を得て治療に専念できる利点があります。 

こちらの記事では、うつ病で生活保護を受ける基準について解説しています。

参考:福祉・介護生活保護制度 ー 厚生労働省

うつ病と仕事に関するよくある質問 

うつ病と仕事に関するよくある質問についてご紹介します。 

うつ病でも仕事していいですか? 

うつ病の診断を受けた場合、最優先すべきことはストレスの要因を避けて休養することです。

ただし、現実的な理由からすぐに休職や退職が難しい場合もあるでしょう。そのような状況で、仕事とうつ病の治療を両立させることが求められます。 

 

うつ病の治療と仕事の調整は可能ですが、症状や状況によっては難しい場合もあります。

うつ病を治療しながら仕事を続けるために、自身でうつ病に関する知識を身につけ、注意点を把握することが重要です。また、職場の協力や理解も欠かせません。以下の3つを調整することが理想的です 

  1. 業務内容の調整 : 現在の状況に合わせて業務内容を調整してもらう。
  2. 人間関係の調整 : ストレスの原因となる人間関係がある場合、適切な調整を行ってもらう。 
  3. 職場環境の改善 : 職場の環境にストレス要因がある場合、改善策を実施してもらう。 

 

定期的な通院治療やセルフケアを続け、職場の理解と協力を得ながら、うつ病の治療と仕事を両立させることが可能です。

ただし、職場環境や仕事の内容が自身に合わないと感じる場合は、配置転換や転職を検討することをおすすめします。自分の健康と幸福を最優先に考え、適切な環境で働くことが、うつ病の克服と持続的な職業生活のために重要です。 

うつ病を働かせることはできますか? 

うつ病の症状を抱えながら出社させ、働かせることは基本的にお勧めできません。

なぜなら、うつ病の治療は通常、薬(抗うつ薬)の服用、休息、カウンセリングの三つが主要な要素であり、休息が不足する場合、症状が悪化する可能性があるからです。 

 

最終的に、本人との十分なコミュニケーションや医師の診断を参考にし、適切な対応を行う必要があります。組織全体としてメンタルヘルスの問題について理解し、支援する体制を整えることも大切です。 

うつ病になったら 仕事どうする? 

心身の調子が優れないときは、無理をせずに思い切って休むことが大切です。 

特に、うつ病のような状態では、気分が安定しないことがあり、調子がよいときには無理をしてでも仕事を進めようと考えることがあります。 

しかし、これは良くありません。無理に仕事を続けることは、症状を悪化させる可能性があるため、休息をとり、調子が戻るまでゆっくり過ごすことが、長期的な健康と職場での活躍のために必要です。 

うつ病の何が辛い? 

うつ病の典型的な症状には、何もないのに悲しくなる、絶望感、持続的な気分の落ち込み、意欲の低下、興味や喜びの喪失、思考力や集中力の低下、身体症状(頭痛、肩こり、睡眠障害、疲労感)などが含まれます。

これらの心身の症状が1か月以上続く場合、要注意です。 

 

症状が重くなると、不安感、焦燥感、妄想、自殺願望などの症状が現れ、非常につらい状態になる可能性があります。 

うつの時にやってはいけないことは何ですか?

 

 うつ病の症状には、物事の見方や考え方が否定的になることがあり、判断力も鈍りがちです。このような状態では、冷静な判断が難しく、「仕事を辞める」や「離婚する」など、

その後の人生に大きな影響を及ぼす決定を急いで下すことは避けたいです。 

むやみな決断は後で後悔することにつながりかねません。  

うつ病の治療を受け安定した状態に戻ってから大きな決定をすることをお勧めします。 

治療が進み回復へ向かうことで、否定的な思考が減少し、冷静な判断が復活することがあります。家族や友人、専門家に相談し、人生の大きな選択をする際には慎重に行いましょう。 

うつ病で会社を休める期間は?

 軽度の場合でも最低1ヶ月、症状の重さに応じて3ヶ月から半年の休職期間が妥当です。 

休職制度は、従業員が私的な傷病や事故により職務を遂行できない場合、退職や解雇を行わず、その身分を一定期間存続させ、復帰の機会を待つための制度です。

多くの会社がこの制度を採用していますが、休職期間については法的に義務付けられているわけではなく、各企業が独自の規定と判断を行います。 

また、休職後の復職に際しては、時短勤務などのリハビリテーション勤務を検討し、本人と医師との協議を経て慎重に進めることが大切です。

【しんどい?】うつ病からの復職ガイド!同じ職場か転職かの判断もお任せ!

夜勤はうつ病になりやすい? 

夜勤の方は日勤の方に比べうつ病になりやすくなります。

上記の規則正しい生活の項でも触れたように

夜間活動が主な場合は「セロトニン」「メラトニン」「ビタミンD」の観点から見ても不足しがちになりますし

夜勤をしていると睡眠時間が短く、または不規則になりがちです。

特に睡眠と精神疾患との結び付きは非常に深いとされており

睡眠不足が続くとうつ病が発症する危険率は通常の40倍に高まるとのデータもあり不眠が、うつ病を引き起こす危険因子であることが説明されています。 

夜勤とうつ病の関係

参考:分子精神医学 Vol.5 No.1 2005 「気分障害における睡眠異常とその治療」 亀井 雄一氏 

国立精神・神経センター国府台病院精神科https://portal.lighttherapy.jp/information/post_109.html 

 

うつ病と仕事に関するまとめ 

新型コロナウイルスの流行後、日本のうつ病・うつ状態の人の割合は増加し、うつ病は一般的になっています。

うつ病の初期症状や身体のSOSに気づいた場合、早めの受診が重要ですが、症状のわかりにくさから適切な治療を受けないまま時間が経過することがあります。

しかし、うつ病は治療できる病気であり、早期治療が大切です。仕事との両立については、医師と相談し、通院治療や休暇を活用することで対処できます。

また、仕事中にうつ病の兆候を見逃さないようにすることも重要です。仕事ができなくなった場合、生活費の支援制度も存在し、会社や国の規則を確認し、適切な支援を受けることができます。各選択肢を検討し、専門家との相談を行うことが大切です。 

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