「精神障害者手帳3級の申請をしたけど落ちた…。」
「精神障害者手帳3級に落ちたけど、もう取得できないの?」
今回はそのような方に向けて、精神障害者手帳3級の審査基準や落ちた場合にやるべき事を、実際の診断書を元に重要なポイントを一からご紹介致します。
結論:精神障害者手帳3級に落ちた方でもしっかりと対策すれば再取得は可能です!
また、合わせて取得によるメリットや受給可能な年金額なども合わせてご紹介致します。
当記事では、「精神障害者保健福祉手帳」を簡略的に「精神障害者手帳」と簡略的に呼称しております。
精神障害者手帳3級の審査基準や対象者とは?
それでは、まずは精神障害者手帳3級の対象者を明確にしその対象者の中からどのような方が取得可能なのかを解説していきます。
精神障害者手帳3級の対象者
精神障害者手帳3級の対象となるのは、法律上「精神疾患を有する者」となっております。
具体的に、
統合失調症や躁鬱病、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質性精神病等その他精神疾患の全てが対象となります。
この中で申請の対象となるのは、
「精神障害のため長期にわたり日常生活または社会生活への制約(障害)がある人」
となります。
具体的には、
「精神疾患の初診日から6ヶ月以上経過し、その精神疾患により日常生活に制限がかかっている人」
の事を指します。
特に、この日常生活に制限がかかっている程度により取得の是非が決定されます、
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000006291.html
適応障害は精神障害者手帳の対象外の場合も
特に働いている方で適応障害と診断される方も多いと思いますが、適応障害単独では精神障害者手帳3級の対象となり得ない場合がほとんどです。
利用としては、適応障害の症状の持続は6ヶ月以内とされ、長期の生活能力障害を前提とする手帳の対象とはなり得ないからです。
適応障害の方は以下の記事も参考にしてください。
参考:熊本県「精神障害者保健福祉手帳用診断書の留意事項(別紙)」
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/106835.pdf
及び、監修者の適応障害の支援経験より
精神障害者手帳3級の審査でもっとも重要なポイント
それでは、具体的にどのような審査基準で、取得の是非が決まるのか解説していきます。
主に以下の順序とポイントを元に取得可能か審査が行われます。
- 精神疾患の存在の確認 (精神疾患があるかないか?)
- 精神疾患の状態(機能障害) (精神疾患の疾患別の程度)
- 能力障害(活動制限)の状態(生活を送る上での障害の程度)
- 精神障害の程度の総合判定 (②③を加味した障害の程度)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4615&dataType=1&pageNo=1
それでは、順番に解説していきます。
ただし「①精神疾患の存在の確認」については、精神疾患であるかどうか?
ですので、今回は割愛させて頂きます。
審査基準②精神疾患の状態(機能障害)の審査ポイントと対策
精神疾患の状態(機能障害)という項目について解説していきます。
機能障害とは、精神疾患の症例の多い7つの病名毎に、
その精神疾患特有の症状があるか確認されます。
例えば、統合失調症であれば3級の基準でいうと
「人格変化の程度は著しくはないが、思考障害、その他の妄想・幻覚等の異常体験があるもの」
と記載されています。
うつ病(気分障害)の3級の基準であれば、
「気分、意欲・行動及び思考の障害の病相期があり、その症状は著しくはないが、これを持続したり、ひんぱんに繰り返すもの」
という、症状があるか確認されます。
もし精神障害者手帳3級の審査に落ちた場合は、
医師より上記の症状がない、もしくは3級の基準に満たしていないと診断書より判断される場合です。
自身が上記の症状に当てはまっているのに、取得できない場合は
- しっかりと診察時に、自身の症状について説明する事
- 自身の疾患に詳しい主治医に変更すること
等が挙げられます。
③能力障害(活動制限)の審査のポイントと対策
次に、能力障害についてですが、これは
「精神疾患によってどの程度、日常生活や社会生活に制限(障害)が生じているか?」という審査ポイントとなります。
審査で見られる生活のポイントとしては、
- 食事
- 清潔
- 通院/服薬
- 家族/知人関係
- 市役所等の手続き
- 趣味・娯楽への関心
等の制限の度合いを基準に確認されます。
では、具体的に3級の生活が制限される程度としては
上記に挙げた、「生活に対しては普段は自発的にできるが日常生活に急激なストレスがかかった際などには援助を必要とする程度」です。
対人関係であれば、国の記載によれば
「家族や知人・近隣等と適切な意思伝達や協調的な対人関係づくりはなお十分とはいえず不安定である。」
精神疾患により対人関係作りに問題が生じている場合などが挙げられます。
能力障害の審査を元に落ちた場合の対処法としては、
- 自身がどの場面で、疾患により制限を感じているか?把握する
- 特に援助が必要な場面について診察時に伝える。
④精神障害者手帳3級ってどの程度の人?総合判定の審査ポイントと対策
最後に、②と③を加味した上で以下の3級の基準に該当する場合
取得となります。
精神障害者手帳3級の総合的な基準として、
「精神障害の状態が、日常生活又は社会生活に制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」
とありますが、国が挙げている具体例としては
- 一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況では対応が難しくなったり
- 日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じてくることもある。
などがあります。
ざっくり一言で状態を表すと主に
「過度なストレスがかかった際に、症状が現れ日常生活がままならない」状態です。
2級と比べた場合は、
日々の通常のストレスがある状態で症状が出たり、日常生活がままならなくなる方となります。
精神障害者手帳3級ってどんな人?具体例を挙げて紹介
これまでの説明ではわかりにくい方のために、実際の具体例を挙げて確認していきます。
- 症状の状況:仕事上のストレスなどにより、自己否定感、焦燥感、不安感などの感情に時折襲われ、その時期には頻繁に会社や友人、相談員に電話をしてしまう。
- 日常生活の悩み:不安などの感情に襲われている時は、一人で外出が難しくなり、家の掃除が困難になり散らかしてしまう。仕事上では、適切なコミュニケーションができなくなったり、手順通り仕事ができなくなる。
こちらの方の例では、日常は通常通り働いており生活もできていますが、
時折、症状が繰り返し出ており
急なストレスの状況下では、これまでできていたものができなくなり日常生活や社会生活に制限が出ています。
この場合、しっかりと状況を説明できれば取得の基準を満たしていると言えます。
精神障害者手帳3級が取得できない理由
それでは、具体的に手帳が取得できない要因について解説していきます。
大きく分けて、主に3パターンが落ちる理由として挙げられます。
もしすでに申請してしまった落ちてしまった方は、自身がいずれかに該当するか確認し、
参考にしながら再申請を検討してみてください。
①主治医に日常生活・社会生活の困難さが伝わっていない
精神障害者手帳3級の申請の際に、主治医に以下のような診断書を提出する必要があります。
この診断書に「日常生活能力の判定」という項目があります。
ここの情報を元にして、精神疾患による日常生活・社会生活の制限(障害)の程度により手帳が交付されますが
例えば、医師に上手く自身の状況が伝わってなく、全て「自発的にできる」と記載された場合は、取得は難しくなります。
また、日常生活能力の程度の箇所で3級に該当するのは
(2)の日常生活又は社会生活に一定の制限を受ける
の項目に◯がついている必要があります。
ここの箇所が、(1)であれば
まず申請に落ちてしまうため注意が必要です。
対策法①あらかじめ困難さをまとめるや家族に代弁してもらう
やはり診断書依頼の時点で、あらかじめ生活場面の困難さをまとめたり
症状の出方についてまとめる必要があります。
又、自身で上手く説明できない場合は、家族などに代弁してもらう事も一つの方法です。
対策法②精神科訪問看護等、第三者のサービスを活用する
精神科訪問看護など、自宅での療養のサポートを行うサービスがあれば
そちらを活用するのも一つの方法です。
訪問看護を利用した場合は、自宅での治療生活の様子などを「訪問看護報告書」として毎月、報告してくれるため
あらかじめ訪問看護師と精神障害者手帳3級の申請について話しておく事でスムーズに申請に移行できるでしょう。
対策法③主治医を変更する
現在主治医とコミュニケーション上の問題を感じるのであれば、主治医を変更するのも一つの考え方です。
確実に自身が日常生活の生きづらさを感じているなら、しっかりとコミュニケーションが取れる医師へと変更するのも一つの手段です。
②申請の時期が早すぎる
精神障害者手帳3級は、初診日から6ヶ月経過後の申請が可能となります。
しかしながら、精神疾患には波があるため
申請の時点では、日常生活の困難さが現れていない場合もあります。
その場合は、もう少し時間が経ってから申請するのも一つの方法です。
③そもそも基準を満たしていない
最後に申請却下理由としては、これまで説明してきた精神障害手帳3級の基準をそもそも満たしていない事が考えられます。
この場合は、そもそも日常生活に問題はないと客観的に判断されているため、通常通り、日常生活・社会生活を送る他ないと言えるでしょう。
精神障害者手帳3級の再審査までにできる事
これまでの
- 主治医に日常生活・社会生活の困難さが伝わっていない
- 申請時期が早すぎる
- 基準に満たしていない
の3点を挙げましたが、再審査までにできる事としては
やはり「しっかりと自身の生活でどのような困難さがあるのか?どのような援助が必要なのか?をまとめておく事」
そして、必要に応じて第三者が介入するようなサービスを利用すると良いでしょう。
又、症状について自身の疾患の状態が現在の主治医に上手く伝わっていないと感じるならば
他の医療機関に通ってみる事も検討しましょう。
精神障害者手帳3級が取得可能なもう一つのパターン
社会保険労務士などに依頼し、先に障害年金の申請を行い障害年金3級を受給する事で、精神障害者手帳3級が自動的に取得が可能になります。
この場合、判定はなく申請だけで取得できる仕組みとなっております。
というのも障害年金の判定と障害者手帳の判定は非常に似通っており、
さらに精神障害者手帳3級の範囲は障害者手帳3級の範囲より広いとされているからです。
料金はかかりますが、障害年金の申請を専門とする社会保険労務士等に依頼する事でスムーズに取得が可能となります。
精神障害者手帳3級を2級にするには!?【等級変更時のポイント】
現在、精神障害者手帳3級をお持ちの方の中には、制度や生活などのサポートに不便さを感じており、「2級や1級に等級を上げたいと考えている方」もいらっしゃるのではないでしょうか!?
生活や支援に不足を感じておられる方、3級を2級にと考えているのであれば「もしかしたら、等級決定の際に提出した診断書がご自身の状態にあっていない!」のかもしれません
主治医に、日常生活の実態が正確に伝わってないのかもしれません!
そういった場合は再度医師に、ご自身の生活状況や困りごとなど詳しくお伝えし「正しく生活実態を記載された診断書」となるように心がけましょう。
その後ご自身の実態にあった、等級が決定されますので人によっては等級が上がりより暮らしやすくなる方もいらっしゃいますし、逆に下がるケースもございますから
最終的には自己責任で、判断するようにしましょう。
精神障害者手帳3級取得のメリット
それでは、具体的に精神障害者手帳3級取得によって得られるメリットを解説していきます。
こちらについては、取得によるメリット一覧をより詳細をまとめていますので、ご覧ください。
精神障害者手帳3級取得の取得によって主に以下の割引があります。
- 携帯電話の基本料金
- タクシーやバス・飛行機等移動の割引
- 映画館や余韻施設の割引
- 医療費の補助(市町村により異なる)
やはり代表的なものは携帯電話の割引となります。
各キャリアは障害者手帳を所持するものに限定したプランを用意しているため
月額で1,500円程度の割引を受ける事ができます。
他にも、映画館を一律1000円で見る事ができたり
タクシー代の一律10%の割引などがあります。
精神障害者手帳3級を取得しても就労は可能?
まず前提として、3級の場合は通常通り就労していても手帳取得は可能です。
国の審査基準にも明確に記載しておりますのでご安心ください。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4615&dataType=1&pageNo=1
又、精神疾患により今の職場で働く事が難しい場合などでは
障害者手帳取得により障害者雇用も可能となります。
この場合は精神専門の就職支援機関(就労移行支援)なども利用が可能となりますので
障害者雇用を検討している方は積極的に利用したいです。
又、働いている途中で一時的に精神疾患により休職した場合などは
復職のサポートなどもありますので、こちらも利用可能です。
精神障害者手帳3級の申請の流れ
これから申請する方のために申請に必要なものと申請先を解説しておきます。
まず必要な書類として以下の2点があります。
- 精神障害者保健福祉手帳申請書
- 診断書
この「精神障害者保健福祉手帳申請書」については
最寄りの市役所の障害福祉課にて受け取る事ができます。
申請は原則本人ですが、病院の職員や福祉施設の職員でも代行する事が可能です。
申請先も先ほど述べた障害福祉課となります。
先に障害年金3級を取得している方については
- 年金証書の写し
- 年金振込通知書の写し
- 年金証書についての照会同意書
の3点により無条件で取得が可能です。
精神障害者手帳に落ちた!再審査のまとめ
今回は、精神障害者福祉手帳に落ちた方に向けて、再審査までにできる事や
落ちる原因、対処法について解説いたしました。
もし再申請される方は参考にしてみてください。
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